
プリンターインクについてのあらゆる疑問にお答えします。いつも何気に使っているプリンターですが、インク代高いな、インクなんだか残っているのにインク切れ?、などなど日ごろ感じている疑問にお答えします。プリンターメーカーのインクコストも比較してみました。お楽しみください。
この記事の目次
1.顔料インクと染料インクの違い
1-1.プリンターインクには顔料インクと染料インクがある
インクの成分は顔料インクと染料インクになります。染料と顔料の違いはプリンターに限ったことではありません。着色剤のうち溶剤に溶けるものを「染料」、溶けないものが「顔料」です。
プリンター以外では、「染料」は繊維を染めるために、「顔料」は塗料や化粧品などで多く用いられています。
プリンターで使われる場合
「染料インク」は水に溶ける性質の色素を使ったインクで水彩絵の具のようなものです。異なる色のインクが混ざり合うため、複雑な色もよく表現でき、写真印刷で使われることが多いです。短所は耐水性が低いこと、光や空気に触れると色褪せしやすいことです。昔の写真を見るとセピア色ですが、染料インクで印刷して色あせた状態というわけです。最近販売されているプリンターメーカーの純正インクは染料インクでも色あせないインクとなっております。
「顔料インク」は水に溶けず、色素が粒子のまま残ったインクのことです。染料よりも耐水性が高く、色がくっきり鮮明で着色力が強いインクです。ビジネス書類の印刷やハガキ印刷に適しています。その半面、複雑な色の表現は苦手です。光にさらされても色褪せしにくいし、水に濡れてもにじみが出にくいです。また粒子が粗いため、プリントヘッドのノズルが目詰まりしやすいという欠点があります。
顔料インク | 染料インク |
---|---|
![]() |
![]() |
紙に染み込む | 紙の表面に定着する |
光沢感があり発色が鮮やか | 速効性あり色の安定が速い |
耐水性・ 耐光性 に優れている | コントラストがはっきりしている |
文字の印刷に最適! | 写真の印刷に最適! |
以上のように、写真印刷には染料インク、文書印刷には顔料インクが適しているため、プリンターメーカーではそれぞれの方法で使い分けをしているというわけです。なお、エプソンではプリンター型番で顔料インクか染料インク化識別できます。顔料インクは「PX-」、染料インクは「PM-」「EM-」となっています。
1-2.どの色が顔料インク?染料インク?
では、どの色が顔料インクでしょうか?
キャノンは必ず黒に顔料インクを使っています。染料の黒もはいっている場合もありますが、その場合も1色は顔料黒です。例えば4色だと黒が顔料インク、カラーは染料インク。5、6色だと黒が顔料インク、カラーは染料インクでもう1本黒の染料インクで構成されています。
エプソンの場合、4色の場合は顔料インク、6色は染料インクの場合が多いようです。
ブラザーの場合、黒は顔料インク、カラーは染料インクです。わかりやすいように表にしました。
顔料 | 染料 | |
---|---|---|
Canon | BK | BK・C・M・Y |
brother | BK | C・M・Y |
EPSON | BK・C・M・Y | BK・C・M・Y ・LC・LM |
hp | <一体型> BK・C・M・Y | C・M・Y |
これを見ると次のことがわかります。キャノン、ブラザーはテキストを印刷するために必ず黒は顔料インクを使っている。なので書類印刷には向いている。一方エプソンは顔料インクだけ、染料インクだけの構成ということ、これは写真印刷に特化したプリンターを売りにしているということがわかります。
2.各プリンターメーカーごとのインクの違いは何?
2-1.各プリンターメーカーのインク色数の違い
以 前は各プリンターメーカーともインクの色が色々ありました。例えばキャノンは過去にレッド、グリーンといった具合に色を細分化していましたが、最近は多くてもせいぜ い6色に落ち着きました。また、エプソンもダークイエロー等の色があるプリンターもありました。こちらも今では多くても6色です。
以下の表に4大メーカーの色数をまとめました。
4色 | 5色 | 6色 | |
---|---|---|---|
Canon | <一体型> BK・C・M・Y | <独立型> 顔料BK 染料BK・C・M・Y | <独立型> 顔料BK 染料BK・C・M・Y ・GY |
brother | BK・C・M・Y | ||
EPSON | BK・C・M・Y | BK・C・M・Y ・LC・LM | |
hp | <一体型> BK・C・M・Y |
※BK:ブラック C:シアン M:マゼンタ Y:イエロー LC:ライトシアン LM:ライトマゼンタ GY:グレー
※一体型と独立型はカートリッジの種類
最近、エプソンは再度レッド等が使えるプリンターを出していますが、1部の機種ですので、売れ筋は上記と思ってください。
かなりスッキリしましたので、特にこだわりがなければ4色でも5色でも6色でも良いかと考えます。
ブラック・シアン・マゼンタ・イエローの4色を使えばカラー印刷は基本的には問題なく行えます。
では6色を使う機種は何のためにあるのかということになりますが、こちらの機種はグラデーションなどの淡い色の表現が上手にできることが特徴です。
カラープリンターはインクの色よりも薄い色を表現することができないので(※)、ライトシアン・ライトマゼンタ・グレーなどの薄い色を装備することによって、微妙な色の変化にも対応できるようにしているのが6色タイプの機種です。なのでこちらもエプソンが色数が多く、写真に特化したプリンターだということがわかります。
2-2.プリンターインクの形状、一体型と独立型
インクカートリッジの形状はは大きく2つにわかれます。ヘッド付のものとヘッド付ではないものとに分かれます。
ヘッドは先の解像度のところでも記載しましたが、インクが出る先端部分を言います。プリンターにとって要の部分です。この部分に各プリンターメーカーの技術の 粋が詰まっています。この部分は繊細で高価です。ですのでヘッド付カートリッジはインクタンクのみに比べると割高になる傾向があります。ヘッド付カート リッジのプリンターを販売しているのはキャノンとhpのみです。
ヘッド付プリンターは安価だが、インクカートリッジは高いのでランニングコストは高くなると考えてください。
黒インクカートリッジ | ヘッド有・無 | インク容量 | インク価格 |
---|---|---|---|
BCI-350 | 無し(プリンターに付いている) | 約15.4ml | ¥1,315 |
BC-340 | 有り(プリンターに付いてない) | 約7.6ml | ¥1,610 |
※インク価格はキャノンオンラインショップの価格(2016年8月11日現在)です。インク量もキャノンページからの抜粋です。
見て頂くとおわかりですが、ヘッド付インクカートリッジはヘッド無しと比較するとインク量は半分なのに価格は高いです。これはヘッド部分の料金になります。プリンターを購入する時はヘッドがないので安くつき、インクを購入する段で高くなるというこわけです。
但し、ヘッドなしプリンター(ヘッド付インクカートリッジ)の良いところもあるのです。あまり印刷しない場合にはヘッド詰まりが起きた時でもインクカートリッジを交換すればフレッシュな状態で印刷できるので印刷頻度が低い方には向いています。
ヘッド付BC-340とヘッド無しBCI-350の画像
2-3.色合いの違い
メーカー毎の色合いに違いはあるのでしょうか?下記に各メーカーの画像を比較してみます。
![]() |
![]() |
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キャノン テスト機 PIXUS MP600 |
エプソン テスト機 PM-D870 |
ブラザー テスト機 MFC-J6710CDW |
明らかに違いがあります。ただ、同じキャノンでもプリンターによって色合いは異なりますので、色にこだわりのある方はプリンターメーカーの出している色見本を確認することが大事です。
3.インク量はどの位入っているの?
3-1.キャノンはインク量を公開している
プリンターメーカーではインクの量を公開しているところとそうでないところがあります。
キャノンは最近ではパッケージにインク量の記載があります。(以前はなかったです。)また、ホームページでも公開しているので感心です!
では、キャノンのBCI-351+350 マルチパックのパッケージをみてみましょう。
上部にあるのがインク量。下部矢印が有効期限
ただ、どのパッケージにも記載があるわけではなさそうです。下記のパッケージにはインク量の記載はありませんでした。
でもキャノンはホームページでも公開しているのでその点は評価できます。その表を張り付けてみました。
キャノンインクカートリッジ
|
容量(ml)
|
BCI-370PGBK |
約15.4ml
|
BCI-370XL PGBK |
約22.2ml
|
BCI-371BK/C/M/Y/GY |
約6.5ml
|
BCI-371XL BK/C/M/Y/GY |
約10.8ml
|
BCI-350PGBK |
約15.4ml
|
BCI-350XL PGBK |
約22.2ml
|
BCI-355XXL PGBK |
約37.3ml
|
BCI-351BK/C/M/Y/GY |
約6.5ml
|
BCI-351XL BK/C/M/Y/GY |
約10.8ml
|
BC-340 |
約7.6ml
|
BC-340XL |
約14.4ml
|
BC-341 |
約8.2ml
|
BC-341XL |
約14.9ml
|
BC-310 |
約14.9ml
|
BC-311 |
約12.9ml
|
BCI-43 BK/GY/LGY/C/M/Y/PC/PM |
約12.6ml
|
PGI-73 MBK/PBK/GY/C/M/Y/PC/PM/R/CO |
約14.4ml
|
PGI-39 MBK/PBK/DGY/LGY/GY/C/M/Y/PC/PM/R/CO |
約35.5ml
|
BCI-19 BK |
約9.3ml
|
BCI-19 CLR |
約11.9ml
|
上記表はキャノンインクカートリッジの容量(ml)について
見て頂くとおわかりですが、ヘッド付インクカートリッジはヘッド無しと比較するとインク量は半分なのに価格は高いです。これはヘッド部分の料金になります。
但し、ヘッドなしプリンター(ヘッド付インクカートリッジ)の良いところもあるのです。あまり印刷しない場合にはヘッド詰まりが起きた時でもインクカートリッジを交換すればフレッシュな状態で印刷できるので印刷頻度が低い方には向いています。
3-2.エプソン、ブラザーは非公開
では一方、エプソンとブラザーではどうでしょうか?残念ながら日本では公表していません!海外では公表しているようなのでそれを見てみます。まずはフランスのエプソンのホームページからダイレクトショップに移動するとすごーく親切にインク量の記載があります。
ブラザーも探しました。イタリアのネットショップです。
「7.1ML」とありました。
ひどい!日本では公表していないのに!『自国の製品を世界で一番高く買う日本人』といったことを聞いたことがありますが、日本のメーカーなのに日本人に不親切。これでは本当に不信感を持ってしまいます。私たち消費者もメーカーに情報の公開を求めるべきなのでしょう。
3-3.インク量を測定してみる
では、公表していないのなら測ってみるということで測定してみました。
エプソンはどの位の量がはいっているかというと、使用前のインクカートリッジの重量からインク切れ時の重量を測ることで推測してみます。IC6CL70、IC6CL70L、IC6CL80、IC6CL80Lのインクカートリッジのビニール袋を取り、キャップをした状態の使用前の重量を測ります。
次に使用後のインクカートリッジの重さを測ります。「インクが切れました」のメッセージが出た状態で測ったものですが、バラつきがあります。このことからもインクが切れたのはインク量とは関係ないことがわかります。また空うちを避けるため、インクは残った状態でインク切れとなります。
70 | 80 | 80L |
15.6g | 16.5g | 17.0g |
上記の結果を踏まえてインク使用量を算出しました。なお、インク切れ時の重量は平均値。(IC6CL80は16.5g)で算出しました。次は各カートリッジの重さとインク使用量です。
キャップ付き | IC6CL70 (使用量) |
IC6CL70L (使用量) |
IC6CL80 (使用量) |
IC6CL80L (使用量) |
BK,C,M,Y | 20g(3.5ml) | 23g(6.5ml) | 20g(3.5ml) | 25g((9.5ml) |
LC,LM | 21g(3.5ml) | 26g(9.5ml) | 20g((3.5ml) | 27g(10.5ml |
インク切れ時にもインクカートリッジ内部にインクが少し残っていますので使用量に2ml加算しておおよそのインク容量をだしてみました。これでキャノンとも比較できます。
エプソンインクカートリッジ
|
使用量と()内は予測インク容量(ml)
|
IC6CL80L | 約9.5ml(11.5ml)~約10.5ml(12.5ml) |
IC6CL80 | 約3.5ml(5.5ml) |
IC6CL70L | 約6.5ml(8.5ml)~約9.5ml(11.5ml) |
IC6CL70 | 約3.5ml(5.5ml) |
IC4CL69 |
約7.4ml(8.4ml)
|
IC6CL50 |
約7.0ml(9ml)
|
同じ条件でブラザーのインク量も調べた結果が次の通りです。()内の予測容量は使用量に2ml加算しています。
ブラザーインクカートリッジ
|
使用量と()内は予測容量(ml)
|
LC12BK | 約9.6ml(11.6ml) |
LC12C,M,Y | 約7ml(9ml) |
LC111BK | 約7.5ml(9.5ml) |
LC111C,M,Y | 約7.2ml(9.2ml) |
LC113BK | 約15.0ml(17.0ml) |
LC113C,M,Y | 約6.7ml(8.7ml) |
LC117BK、LC213BK | 約13.0ml(15.0ml) |
LC115C,M,Y、LC213C,M,Y | 約13.0ml(15.0ml) |
パッと見た目にもエプソンのインク量が少ないです。インクカートリッジの値段がそれだけ安ければ問題ないのですが、どうでしょう。更に詳しくみていくことにしましょう。
4.キャノン、ブラザー、エプソンの印刷コストを比較
インク容量はわかりましたが、では1枚あたりいくらで印刷できるのかが知りたいですよね。各プリンターメーカーのページからインク代を写しました。エプソンの場合、インクジェットプリンターは写真印刷のためということでA4印刷のコストは公表していません。
3大メーカーインクジェットプリンターインク価格比較 | ||||
メーカー | プリンター | インク型番 | L判 | A4 |
Canon | PIXUS MG3630 | BC-340/BC-341 標準 | 約24.3円 | 約19.0円 |
BC-340/BC-341 大容量 | 約18.6円 | 約12.4円 | ||
PIXUS MG5730 | BCI-371/370 標準 | 約20.0円 | 約11.3円 | |
BCI-371/370 大容量 | 約15.1円 | 約8.6円 | ||
PIXUS TS9030 | BCI-371/370 標準 | 約23.1円 | 約13.2円 | |
BCI-371/370 大容量 | 約15.1円 | 約8.9円 | ||
EPSON | EP-978A3,EP-808,EP-708A等 | IC6CL80 | 約26.5円 | – |
IC6CL80L | 約20.6円 | – | ||
BROTHER | BASICシリーズ | LC211-4PK、LC111-4PK | 約17.9円 | 約8.1円 |
NEOシリーズ | LC219/215-4PK、LC217/215-4PK LC119/115-4PK |
約18.8円 | 約7.1円 | |
WORKSシリーズ | LC119/115-4PK | - | 約6.1円 |
※紙はキャノンL判はキャノン写真用紙・ 光沢 ゴールド、A4は普通紙。エプソンはL判・写真用紙<光沢>)。ブラザーはL判サイズ(フォト印刷)。となっております。いずれも各メーカーのサイトからの抜粋です。
これを見るとキャノンのBC-340/BC-341がヘッド付インクカートリッジなので高いのはわかりますが、エプソンのIC6CL80はそれを上回る価格です。また興味深いのはキャノンの場合、同じインクカートリッジでもプリンターによってインクコストが変わるという点です。ブラザーも同様のことが言えますが、シリーズによってプリンターの機能を変えることでインクコストも変化しているようです。エプソンについてはこの点はあてはまりません。エプソンのインクジェットプリンターで書類を印刷するのはちょっと恐くなるインクコストです。
エプソンはビジネス用のインクジェットプリンターに力を入れているのでこちらのインク代も表にしてみました。
エプソン ビジネスインクジェットプリンター | ||||
メーカー | プリンター | インク型番 | A4 カラー | A4 モノクロ |
EPSON | PX-M5041F/PX-5040F | IC4CL74 | 約7.6円 | 約2.5円 |
PX-B700 | IC4CL90 | 約6.1円 | 約1.8円 | |
PX-M350F / PX-S350 | ICBK95 | 約1.8円 | ||
PX-M840F | IC4CL92 | 約6.1円 | 約1.8円 |
仕事で書類をバンバン印刷する場合、ビジネスインクジェットプリンターがおすすめなことがわかります。
5.インク切れ時にインクが残っている
インク切れの時にインクカートリッジを取り出してみて「おやっ、インクがまだ入っている?」と思われたことはありませんか。インク切れ時に中のインクを全て使い切ることはありません。プリンターは空印刷を避けるためにインクは必ず残った状態でインク切れが起きるように設定されています。なので入っているインク全てが使われるわけではありません。画像はインク切れのブラザーのLC12Yを解体したものですが、インクが残っているのがわかります。
6.プリンターインク代を安くしたい!
プリンターインク代をもっと安くしたい場合、どんな選択肢があるでしょうか?純正インクカートリッジ以外に非純正インクというものがあります。非純正インクはプリンターメーカーではないメーカーが製造しているインクカートリッジです。非純正インクどんな種類があるか見てみます。
6-1.非純正インクカートリッジの種類
6-1-1.再生インクカートリッジ(リサイクルインクカートリッジ)
こちらは使用済みのインクカートリッジを回収し、洗浄したものに再度インクを詰め替えたものです。再生インクカートリッジはヘッド付インクカートリッジ(一体型)で出回っています。ヘッドは非常に高度な技術がないと作れないものです。ですのでプリンターメーカー以外のメーカーでヘッド付インクカートリッジを作っているところはありません。ヘッド付インクカートリッジを販売しているのはキャノンとhpになりますので、再生インクカートリッジはキャノン、hpのヘッド付インクカートリッジ(一体型)となります。
画像はキャノンのBC-340ですが、このようにヘッドがついているタイプは再生インクカートリッジが出回っています。
では、再生インクカートリッジは格安かというとそうでもありません!せいぜい純正インクカートリッジの3割程度です。これは回収、製造に手間がかかるためです。2-2.でも記載しましたがインクコストのことを考えるとヘッド無しプリンター(ヘッド付インクカートリッジ)はおすすめできません。また、再生インクカートリッジは空が集まらないと製造できないので必ず市場に出回っているわけではありません。
ちなみに再生インクカートリッジの日本での歴史は2000年エステー産業株式会社が製造を開始したあたりが最初ではないでしょうか。
写真は山梨県にあるJITの再生インクカートリッジです。
6-1-2.互換インクカートリッジ(汎用インクカートリッジ)
非純正インクカートリッジで良く目にするのが互換性(汎用性)のあるインクカートリッジです。こちらはプリンターメーカーが販売しているインクカートリッジの代わりに使えるよう製造されたものです。互換インクカートリッジの歴史は1993年位には再生インクカートリッジのパイオニアでもあるエステー産業株式会社が製造しているようですのでかれこれ20年以上の歴史があります。その為、最近は技術も進歩し高品質の互換インクカートリッジを入手できます。
新しいプリンターが発売されると約半年位で互換インクが発売されます。その時点では純正インクカートリッジと比べて割安感はあまりありませんが、その後も徐々に価格が安くなっていきます。但しあまり安い場合インクの質が落ちることがあるので気をつけてください。
また、先の再生インクカートリッジのところで記載した通り、ヘッド付インクカートリッジには互換品がありません。
写真はエプソン製のIC6CL59の互換インクカートリッジです。純正のインクカートリッジとは若干外観が異なります。また、互換品メーカーによって値段、外観は異なってきます。
ちなみに非純正インクカートリッジはすべてのインクカートリッジを網羅しているわけではありません。出筋のものは大抵ありますが、製造販売されていないものもあるので確認が必要です。
6-1-3.詰め替えインク
環境にも優しい詰め替えインクという選択肢もあります。詰め替えインクは主に使い切った純正インクカートリッジに自分でインクを詰め替えるというものです。日本ではまだまだ、知らない方も多いのですが、ヨーロッパでは広く愛用されている方法です。使い終わったインクカートリッジを持参するとインクをいれてくれるサービスステーションのような処もあるようです。
では、一方日本の事情はというと残念ながらプリンターメーカーの締め付けもあって詰め替えインクはまだまだ一般的ではありません。ただ、純正インクカートリッジを使用するということから見ても非常に良い方法です。純正インクカートリッジはプリンターメーカーが製造したもので、その技術力は高いです。そのカートリッジに詰め替えるのですから問題も少なく良い状態で印刷することができます。環境にも優しく、コスト削減もできるのですからもっと広まることを切に望みます。
詰め替えインクに興味を持った方は『1999年創業の詰め替えインク専門店』を見るとその奥深さがおもしろいのでおすすめです。
6-2.純正インクカートリッジと非純正インクカートリッジの違い
あたり前ですが、純正品に及びません。何が及ばないかというと保持力です。これはどの非純正インクでも純正品の保持力には敵いません。次に色合いです。色合いについては好みもあるので一概には言えませんが、やはり純正品の色の深みはきれいです。では細かくみていきます。
6-2-1.保持力
どういうことかと言うと、昔の写真を見るとセピア色に色あせておりますが、そのこととです。
随分色あせていますね。先に書いたとおりインクジェットプリンターのインクは色あせのしない顔料インクと色あせしやすい染料インクが使われていると書きましたが、顔料インクは粒子が粗いため詰まりやすく、プリンター発売当初は染料インクを使うプリンターがほとんどでした。1987年に発売されてキヤノワードαシリーズは黒インクも染料インクでした。この頃のインクで印刷したものは20年ぐらい持つといわれています。オゾン、光の影響を受けずきちんと保管されていればそれ以上に持ちます。これは昔の写真がアルバムではまだ色あせていないが、写真立ての方は色あせていることからもわかりますよね。
それが染料インクでも次のエプソンように進化していったのです。
KUI-6CL-L IC6CL80 |
染料インク | 耐光性50年、耐オゾン性10年、アルバム保存年数300年 |
IC4CL69 | 顔料インク | 耐光性45年、耐オゾン性30年、アルバム保存年数300年 |
耐光性20年、耐オゾン性10年、アルバム保存年数100年から
耐光性50年、耐オゾン性25年、アルバム保存年数200年の時代に。
また、染料インクは水に弱いものですが耐水性も備えたものになっているのです。
これは若干の違いはありますが、他の2つのメーカーも同様です。
ブラザー アルバム保存100年以上、耐光性50年以上
キャノン アルバム保存100年
一方、量販店でも購入できる非純正インクカートリッジの日本メーカーのインクはどうでしょう?主な日本メーカーはエレコム、JIT、サンワサプライなどでしょうか。今のところこの3社では100年持つというふうには発表していないようです。
では、非純正インクカートリッジはどの位持つかというとアルバムに保管した状態で20年~30年位と思って頂ければ良いかと思います。もちろん保存状態が良ければこれ以上持つこともあります。
やはり耐光性は非純正インクは純正インクに比較すると格段に落ちます。ここで言えることはずっと大事に取っておきたい大事な印刷物は純正インクカートリッジを使うと良いということです。ですが、せいぜい10年持てば良い程度のものでしたら非純正インクでも充分ではないでしょうか?
6-2-2.色合い
色合いについては各メーカーの色比較の際も書きましたが好みがあると思います。キャノンのPIXUS MP600で詰め替えインクを使い印刷した画像がありますので見てください。2-3.に純正インクの写真がありますので比較してみてください。
6-2-3.インクの品質
純正インクが品質が良いのは当たり前ですが、非純正インクの中でも品質の違いはあります。安すぎるインクはそれだけ粒子が粗いと思ってください。粒子が粗いとプリンターのヘッド部分が詰まりやすくなります。例えば100均で購入したインク、最初は良かったけど沢山印刷するうちにヘッドの目詰まりが起きやすくなったなどは良く聞く話です。
色合いは非純正インクカートリッジで良く目にするのが互換性(汎用性)のあるインクカートリッジです。こちらはプリンターメーカーが販売しているインクカートリッジの代わりに使えるよう製造されたものです。互換インクカートリッジの歴史は1993年位には再生インクカートリッジのパイオニアでもあるエステー産業株式会社が製造しているようですのでかれこれ20年以上の歴史があります。その為、最近は技術も進歩し高品質の互換インクカートリッジを入手できます。
6-3.非純正インクの認知度が低い理由
互換インク、詰め替えインクがなかなか広まらない理由の一つにプリンターメーカーの意向が強く影響しています。当たり前ですが、プリンターメーカーは多額の開発費をかけたプリンターを比較的安価な値段で販売しています。その分ランニングコストで利益を得るのが目的です。携帯電話などと同様ですね。買いやすいけど、維持費がかかるということです。なので詰め替えインク、互換インクなどの非純正インクは迷惑な話ということです。そこで色々な方法で非純正インクへの対策を行っています。
<プリンターメーカーの非純正インク対策>
- ICチップをつける(以前のインクカートリッジにはチップはついていません)、ロットでチップへの信号を変える(最近のブラザーではこの方法が取られました)
- カートリッジの形状、色を変える。エプソンはカートリッジ内部の形状を変えて詰め替えができないようにしました。キャノンは透明のカートリッジから中身が見えないように黒い色にしました。
- 特許を理由に販売差し止めをする。
<諸外国と比較すると>
よく言われる話に『日本人は自国のメーカーの商品を世界で一番高くで買う』があります。3-2.エプソン、ブラザーは非公開でも書いたとおり、インク量も公開されていません。また、海外版と日本版ではプリンターの仕様も異なってきます。例えば、hpだと詰め替えたインクカートリッジを使うために操作方法が用意されています。が、日本版はその操作方法が消されている(使えない)状態になっています。
この記事を書いた人

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詰め替えインクのエコッテ本店の店長をしている手塚です。
WEBやスマホの時代でも、印刷はなくなりません。
印刷代の節約を少しでもお手伝いできるように日々営んでいます。
EC業界にいながら、意外とアナログ人間です。
最近は登山に行けておらず、目下スクワット中。